「彼女を地下室へ」
	
	
	しかし、耳を疑うような神父の言葉に、エルミアは驚愕に目を見開いた。
	
	息を詰まらせるエルミアの肩を、脇を固める二人の騎士が押さえつける。
	
	「どんなに美しい見掛けをしていても、卑しい血が流れていることもある。
	あとのことは異端審問官にお任せしましょう」
	
	異端審問官。
	父が絶対に関わってはいけないと言っていた名前に、エルミアは口を噤む。
	どんな手段を用いても異端とされるものを見つけ出し。
	どんな手段を用いても異端とされたものに裁きを下す。
	教会の教えを守るためならばどのような行いをしても許される。
	

